『丸朝製陶所』さんを訪れて。「きほんのうつわ」で食卓に小さな素敵をいつまでも

編集後記

「きほんのうつわ」の制作をお願いしている岐阜県多治見市にある『丸朝製陶所』。代表・松原さんにお話を伺いながら、工場を見学させてもらいました。「きほんのうつわ」ならではのオリジナル性や強度についてお話を聞きながら、私たちがお客さまに届けたいものってなんだろうと改めて考えます。

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11月のよく晴れた日。私たちcocorone編集部は、岐阜県は多治見市『丸朝製陶所』さんにお邪魔していました。

前回に引き続き、うつわの制作をお願いしている『丸朝製陶所』の代表・松原さんへご挨拶と「きほんのうつわ」についてお話を伺いながら、工場を見学させてもらうためです。

何もかも初めてで手探りだった前回よりも、作りたいものがわかってきたからこそ見えてきた、難しさや疑問点。

松原さんにお話を聞きながら、私たちが「きほんのうつわ」を通して届けたいものってなんだろうと改めて考えました。

─ 「きほんのうつわ」はただ便利なものというわけじゃなくて、うつわを通して日々の生活が少し良くなればいいなと考えています。買ってきたご飯や、冷凍庫に眠っていたおかずでも「きほんのうつわ」に盛り付けるだけで、ちょっとだけ食卓がよく見える。うつわで食卓も変わるんだと、うつわの世界が少しでも多くの方に広まればと思っています。

松原さん(以下省略):『丸朝製陶所』では2ヶ月に1回ほど一般の方向けにオープンファクトリーをやっているんです。来てくれる方は近辺の方が多いのですが、以前東京からオープンファクトリーのためだけに来てくれた方がいて。話を聞いたら彼らはインドネシアで日本語の先生をやっているんだけど、インドネシアでたまたま見たカップがとても素敵で。よく見たら『丸朝製陶所』のものだったんだと。そこで、日本に帰ってきたタイミングでオープンファクトリーを知り、わざわざ来てくれたんです。それを聞いて、ひとつのうつわがきっかけで行動したり体験が生まれたりするんだなと、僕も嬉しく感じました。

─ 「きほんのうつわ」は買った直後だけじゃなくて、今でも「盛り付けたよ」と報告をいただくことがあって。特に鉢は型からご相談して作ったものだったのでそれが、きちんと届いた結果でもあるのかなと思ってとても嬉しく感じています。
前回に引き続き、今回も鉢は型からご相談してオリジナルとして作らせていただきましたよね。

はい。既存の型があってそこに色味やデザインを施すものは僕たちはオリジナルとは呼べないと考えています。それはただの組み合わせでしかなくて。

でも「きほんのうつわ」の鉢は違いますよね。特に今回の型は1センチ単位で依頼いただいたでしょう。オリジナル型の初期費用は高額でもあるから、普通はそんな微妙な違いでサンプルを作る人はいないんですよ。

「きほんのうつわ」は何のために作るか、どんな使い方をするのか、どういう人に届けるか全部考えて、型も色合いも決めていったと思います。作ったうつわについて信念を語れるかどうかが、僕たちは本当のオリジナルだと考えています。

─ 今回は色合いを決めるときに、松原さんからもいくつかおすすめをいただいのですが、窯によって色味が違ったりするのでしょうか?

窯によって焼き方が違うので同じ釉薬を使っても同じ色には出ません。
焼き物を焼くときに最大到達温度が1300度まで上がるんですが、そこに到達するまで窯やメーカーによってさまざまなカーブの仕方があるんです。「ヒートカーブ」というんですが、まっすぐ到達させることもあれば、ゆっくり進んで最後に一気にどーんとあげるところもある。

なので、同じ釉薬を使っても焼き方によって色味が変わってくるんですね。ペンキみたいにどこでもある程度同じ色になるわけじゃないので難しいんです。

─ 『丸朝製陶所』さんはどんなヒートカーブを描くんですか?

『丸朝製陶所』では発注されたうつわが求めるものによって5つのヒートカーブを「強度が高い」「色の発色が良い」「歪みが出にくい」などで使い分けています。これはうつわメーカーそれぞれが持ってる秘伝のレシピのようなものなので、公開はできないのですが、作ったものを土台にして毎日少しずつ微調整していきます。

─ 一度決めたら完成ではないのですね。

そうですね。季節によっても全然違いますし、毎日同じものを焼くわけじゃないので、うつわの大きさやかたちによっても調整していかないといけない。数個の試作品ではうまくできても、500個焼くとどうなるかわかりません。

毎回窯に入れるときはすごくドキドキします。窯に入れると完成まで時間がかかるので、明日の何時に見れるんだなとドキドキしながら眠りについて、ドキドキしながらドアをあけるんです。

本当に自分の思い通りに焼けたなと思えるのは年に2、3回。毎日やっていても何年経験を積んでも焼き物って終わりがないなと思いますよね。

─ きほんのうつわは電子レンジや食洗機が使えることも大きな特徴の一つにしているのですが、これはどんなレシピで作成してくださったのでしょう?

きほんのうつわでは強度にを重きをおいた焼き方をしています。普段使いできることを大切にされていると聞いたので、しっかりと焼きしめて耐久性の強い焼き方にしています。今回は1300度で24時間焼成ですね。

この焼き方のことを「還元焼成」というのですが、これが『丸朝製陶所』としても最大の特徴ですね。還元焼成は空気を含ませていないので、表現の仕方にいろいろと制限がかかってしまいます。色味の出る釉薬には酸素と反応するものもたくさんあるので。

技術としても難しいし、焼き時間もかかる。さらに温度が高いので、窯もだめになりやすい。それでも100年続く焼き物が作れる還元焼成でやることに『丸朝製陶所』として意味があると思っています。

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「料理を盛り付けする瞬間が、心ときめくひとときになりますように。」

「きほんのうつわ」は"食卓に小さな素敵が訪れますように"と、型から考えてこだわって作ったうつわです。そこに『丸朝製陶所』さんが、長く愛し続けてくれるようにさらに命を吹き込んで制作してくださいました。

きほんのうつわ第二弾のクラウドファンディングは12/29(火)まで。

一人でも多くの人に、小さな“素敵”な瞬間をお届けできますように。