「今日はあったかいね」なんて、ついこの前まではぽかぽか陽気のほうが珍しかったのに、近頃はすっかり“春うらら”な日々。
やっとちゃんと、春になったみたいです。
寒さから解き放たれるこの時期は、二十四節気の「穀雨(こくう)」。
恵みの雨が、農作物をすくすくと成長させてくれる頃です。
そして、穀雨はゆるやかに初夏へと移ろう期間でもあります。
冬から春、春から夏への変化を感じつつ、自分の中でも「切り替え」をテーマにこの時期を過ごしてみようかな。
◆「恵みの雨」で、豊かな芽吹きを心待ちに

春らしい暖かさが続くようになるこの時期。
お出かけしたい気分も高まるけれど、「穀雨」という名前からなんとなく気づくように、このあたりは雨の日も増えていくみたい。
でもそんな雨こそが、穀物がすくすくと育つためにはとっても大切な恵みになるそう。
そもそも穀雨という名前の由来は「雨生百穀」、“この時期の雨が百種もの穀物を生じさせる”という意味の言葉から来ているんですって。
そんな恵みの雨を「百穀春雨(ひゃっこくはるさめ)」と呼んで、昔の人たちはありがたく思っていたんだとか。
◆八十八夜にちなんで、ほっとお茶時間

穀雨のなかでも、5月のはじめの頃にやってくるのが「八十八夜」。
これは、立春から数えて八十八日目の夜のことです。
ちなみに、八十八の文字を組み合わせると「米」の一文字に。
この日は古くから畑仕事の吉日として大事にされてきたんですって。
「八十八夜に摘んだお茶を飲むと長生きする」なんて言い伝えもあるので、今日は新茶をゆっくりと淹れてみました。
お湯を注ぐとふわりと立ち上る香りに、ほっと心が豊かになります。
◆遠くに聞こえる夏の足音を感じて

春先の急な寒さに慌てて引っ張り出していたセーターの出番も、これからはお休み。
冬の間お世話になったコートやニットを片付けるのも、この時期がちょうどよさそうです。
二十四節気で「春」の季節に分類されるのは、穀雨が最後。
次にやってくる「立夏(りっか)」になると、いよいよさわやかな初夏が近づいてきます。
そういうわけで、穀雨は衣替えにうってつけのタイミング。
「言われてみれば、その頃には学校の制服も冬服から夏服に切り替わる時期だったなぁ」なんて、昔を懐かしんでみたりしました。
もうそろそろ、お気に入りの白いシャツを出しておこうかな。
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本格的な春の到来と、ひそかな夏の訪れを両方味わえるのが、穀雨ならではの豊かさ。
季節の移り変わりを大切に感じながら、衣替えと同じように、何かの「切り替え」期間にするのもいいかもしれません。
服装も軽やかになることだし、最近抱え込んでいたモヤモヤも一度は手放して、楽しい初夏を迎えられるといいな。