ときにはそっと手を合わせて。せわしない心を整える「春の彼岸」

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年に二回、春と秋にやってくるお彼岸。ご先祖さまを敬ってお墓参りに行く時期と知ってはいても、日々の忙しなさにかまけて、ついおろそかにしてしまいがちです。だけどやっぱり、手を合わせて感謝をするのはかけがえのない時間。近頃はいっそう春めいてきて、のんびりとしてしまっていたけれど、お彼岸を機会にきちんと心を整えていきたいものです。

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心がほどけるような、あたたかな空気の広がりを感じる春先。

行き交う人々の装いも軽やかになっていくこの季節は、なんだかちょっとふわふわとして気分になってしまいます。

だからこそ、お彼岸の時期がやってきたら、改めて「感謝」を大事にしたいな。

自分をこの世に残してくれたご先祖さまにも、春という豊かな季節がまた巡って来てくれたことにも、まずはありがとうを。

その気持ちがよりいっそう深まるように、「春の彼岸」にまつわるお話を聞いてきました。

◆今に感謝する、お彼岸の7日間

そもそもお彼岸とは、春分の日・秋分の日を「中日(ちゅうにち)」とし、その前後の3日を含めた7日間のこと。

この期間にお墓参りをしてご先祖さまに手を合わせる習慣は、古くから続いてきた日本独自の文化です。

もともと「彼岸」とは、仏教の修行の末に到達する悟りの世界のこと。

対して、私たちが日々を過ごす、迷いや煩悩のある世界を「此岸(しがん)」と言います。

春分と秋分は、一年の中でも昼と夜の長さがほとんど同じになることから、彼岸と此岸がもっとも通じやすくなると考えられているそう。

だからこそ、ご先祖さまに想いが届くよう、心を込めてご供養するんですって。

普段はなかなかできないお墓参りに、このときは合間を見つけて行ってみて。

◆春はぼたもち、秋はおはぎを

お彼岸のお供え物といえば、まあるく握ったもち米をあんこで包んだ「ぼたもち」と「おはぎ」。

この2つはどちらも同じものを意味していますが、春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」と、別々の名前で呼ばれます。

「ぼたもち」は、春に咲く牡丹の花、「おはぎ」は、秋に咲く萩の花にちなんだ名前。

季節によってお供え物の名前を変えるこまやかさに、「日本人の感性ってなんて豊かなんだろう」とうっとりしてしまいました。

せっかくだから、いつものコンビニじゃなくて和菓子屋さんでぼたもちを買おうと、お店を覗いてみました。

お目当てはぼたもちだけだったのに、他にも春を感じる素敵な和菓子が並んでいたので一緒にお持ち帰り。

さくらもちに大福、よもぎもち。

お墓参りから帰宅したら、ご先祖さまと一緒にわたしたちもいただきます。

なんだか心がほっとする、お茶の時間でした。

◆暑さ寒さも彼岸まで。お出かけの季節のはじまり

「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、お彼岸はちょうど季節の変わり目でもあります。

バケツを持ってお寺さんを歩いていたら、「風が暖かくなったなぁ」なんてしみじみ。

地面のすみに咲いていたたんぽぽも見つけて、本物の春がやってきたことを改めて嬉しく感じました。

こんなに穏やかな気持ちになれたの、いつぶりだろう。

今の自分をつくってくれたご先祖さまに感謝しながら、季節のうつろいを味わう機会になりました。

もう少ししたら、ピクニックにでも行きたいな。

お気に入りの靴をお手入れしたら、お散歩もはかどりそうです。

***

忙しない日々のなかで、ふっと心を落ち着ける瞬間はかけがえのないもの。

お墓のお掃除をして、お線香をあげて…なんて、はじめはちょっぴり億劫に感じていたけれど、やっぱり来てよかったなと思えました。

手を合わせて感謝をしたら、なんだか自分が「整う」感じがしたから。