春のやわらかな空気が立ちこめる帰り道。
ふと道端の木々が華やいでいるのを見かけ、「こんな花が咲くんだっけ」と、冬の間は目にもとめなかった存在に気づいたり。
花って、そこにあるだけでなんだか心が豊かになるから不思議です。
でも「花と暮らす」となると、ちょっとためらってしまう私たち。
それはもしかしたら「ちゃんと飾らなきゃ」と、肩に力が入ってしまうからかもしれません。
日々に取り入れるからこそ、「ちゃんと」なんてしなくていいのかも。
空間にちょこんと添えるように、気軽にできる一輪挿しのやり方を教えてもらいました。
◆うつわを花器に見立てて「花のある暮らし」を

一輪挿しのために新しく用意しなくちゃいけないものって、実はないみたいです。
この時期になるとあちこちで花を咲かせる椿は、花が大きくなるとポトンと地面に落ちてしまうものも。
近所の公園などでもよく見かけますが、大ぶりなので一輪だけで十分に存在感があります。
花だって、きれいなうちにちゃんと愛でてもらいたいはず。
そっと拾い上げて、お気に入りのうつわに水を張ってうつしてあげたら、想像以上に素敵な彩りになりました。
◆小さな花瓶を集めるワクワク

ころんと小ぶりでかわいい一輪挿しのサイズ感。
手のひらサイズの一輪挿しは価格も手頃なので、お気に入りを見つけたら、少しずつコレクションしていく楽しさも。
焼きものの産地や海外のマーケットなど、旅先できゅんとするデザインのものに出逢ったら、きっとそれは運命。
並べておくだけでかわいらしいから、窓辺やガラス戸の棚など、ついつい見えるところに置いてしまいそうです。
中に生ける花を入れ替えつつも、「玄関にはこれ」「キッチンにはこれ」と一輪挿しの配置だけ決めておくのも、無理せず楽しむ秘訣だそう。
◆チョキンと切って、まずはなんとなく生けてみる

結婚式に出席したときにもらえる装花のおすそ分けなど、ひょんなことから手に入るお花。
「正しくはどうすればいいの…?」なんて考えすぎずに、安定する長さにカットして一輪挿しに生けてみて。
試験管のようなガラスの一輪挿しは、バランスや向きなどを気にせず並べて生けていくだけで様になります。
生けてから数日経ったころには、茎の断面をもう少しカットしてみるのもいいそう。
断面が新しくなると、水を吸いやすくなるんですって。
一輪挿しが楽しくなってきたら、あえて蕾の花をお花屋さんで見つくろってもらうのもおすすめです。
日ごとに蕾が膨らみ、ふんわりと開花していく様子を見守っていけるので、毎朝起きるのが楽しみになりそう。
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生活に花を取り入れてみると、案外「いままでためらっていたのって何だったんだろう」と感じたりするものです。
合言葉は、私らしく、背伸びせず。
たった一輪、空間に点を打つように添えられた花が、心に豊かさを届けてくれますように。