ささやかな春の訪れを。「雨水」の時期を楽しむ秘訣

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「雨水」は、二十四節気のなかでも、日ごとに春の足音が近づく季節。普段はあまり気にしてこなかったけど、知れば知るほど小さな春の訪れがたくさん見つけられる季節なんだなぁとしみじみ。そう思うと、ちょっとくらい寒くても、わくわくしながら過ごせそうな気がしてきました

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毎朝ベッドから出るのにひと苦労。

一日でもはやく、ぽかぽかの日差しを浴びて目覚めたいなぁ……なんて、ついつい春に思いを馳せてしまいます。

だけどこの寒さだって、芽吹きの季節に着実に向かっている証拠。

日ごとに春の足音が近づくこの時期を、旧暦では「雨水(うすい)」と言うそうです。

あんまり聞かない名前だけど、この時期は、ささやかな春のかけらを見つけるよろこびに満ちあふれている季節。

そんな季節の移ろいに気づかずに、ただ「寒い寒い」と過ごしてしまうなんてもったいないですよね。

春のかけらを見逃さないために、今日は季節の変わり目の「雨水」のことを教えてもらいました。毎朝目覚めるのがちょっぴり待ち遠しくなりそうです。

◆雨水は「雪解け」と「芽吹き」のとき

「雨水」は、二十四節気のなかでも季節の移ろいを感じやすい時期。

降り積もった雪が溶け出して大地を潤し、土の下で眠っていた草木が芽吹く準備をはじめます。

田畑の恵みとなる雪解け水には、「雪汁(ゆきじる)」や「雪解の水(ゆきげのみず)」といった別名も。

また、昔からこの頃は、人々が冬の間お休みしていた農耕の準備をはじめる季節とされてきました。

しんとしていた世界がにぎやかな春へと変身を遂げようとしているさまは、まるで伸びをして準備体操をしているみたい。

そういえば「三寒四温(さんかんしおん)」という言葉も、この時期を指す四字熟語です。寒い日よりも、暖かくて穏やかな日の方が増えていくのを、肌で感じられる季節になりそう。

◆草木はちゃんと春を知ってる

「でも、まだまだ寒い日はあるし、突然雪が降ったりもするじゃない。」
なんていいたくもなってしまいますが、むしろそんな「寒さ」が春の訪れを象徴しているんです。

体感じゃなかなかわからないからこそ、草木の声に耳を傾けるのもひとつ。

「梅一輪 一輪ほどの あたたかさ  服部嵐雪」

たった一輪だけ咲いた梅の花に、ささやかな春の訪れを感じさせる一句です。

梅の花が日ごとに一輪ずつ咲いていって、だんだんと暖かさが増している様子を表しているようにも受け取れます。

松尾芭蕉のお弟子さんだった服部嵐雪。
彼も私たちのように、沁み入るような寒さを感じながら、春に想いを馳せていたのかもしれません。

この時期になると、お花屋さんにも枝切りの梅が並びます。

梅の木を植えるのはちょっと難しいからこそ、代わりに枝を生けてみるのも素敵。

朝目覚めたら、昨日はかたく閉じていたはずのつぼみがふわっと開いている、なんて瞬間に出逢えるかもしれません。

◆春の季語「霞(かすみ)」と「朧(おぼろ)」を感じてみる

日差しがなんだかやわらかく感じるようになってきたら、もうすぐお待ちかねの春到来です。
でもお出かけには、この季節特有の「春雨(はるさめ)」にも注意して。

春雨は、春のはじまりに降る細かい雨のこと。
そんな、みずみずしい生命のいぶきを感じる春の空には、「霞(かすみ)」も姿を現します。

霞は、春によく発生する霧のこと。
どこかほがらかな空気感のある霞は、俳句や短歌で春の季語としても使われる言葉です。
朝霞、遠霞、春霞…などなど、うつくしい響きの熟語もたくさん。

ちなみに、この霞が夜になると「朧(おぼろ)」という呼び名に変わります。

ぼんやりと濁って浮かぶ春の月は「朧月(おぼろづき)」。
聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

「今日は朧月夜ですね」なんて会話でもしたら、ちょっぴり趣のある夜を過ごせそう。

◆さて、そろそろおひなさまのお支度を


ちゃんと春の訪れを見逃さない草木に見習って、私たちも春を迎える支度をしたいもの。

春の最初にやってくる行事といえば、桃の節句の「ひなまつり」。
昔の人たちは、節分が終わったこの時期におひなさまを用意して飾ることが多かったみたいです。

3月3日が終われば、また1年間しまっておかなければならないおひなさまたち。
しっかり目に焼き付けておきたいから、この時期にきちんと出してあげたいな。

でも、祖母のお家にあったような、豪華な雛段飾りはちょっと大変……。
ということで、手のひらサイズのお雛様とお内裏様をお迎えしてみました。

ちょこんと並べられた姿に、帰宅するたびほっこり。
ささやかでも、日本の文化を大事にできているってなんだか心が整う感じがします。

***

こごまった気持ちがほろほろとほどけていくような感覚を覚える、雨水の時期。

なんだか嬉しくなって、自然と表情もほころんでしまいそうです。

暖かくなったらまずはどこに行こうかな?

そろそろリストアップしないと、なんて考えていた春のはじまりです。